自分は高校大学と、親の金で何度も海外に行ってきた人間で、就職するにあたっても県外や1人暮らしに対する恐れなどというものはなかったはずだ。ところが、就活が上手くいかなず急に県外に行くことが酷く億劫で途方もないことのように感じたのだ。自分は、今の生活に満足しているのだから、特に新しいことを始める必要などなく、この地で安寧を求めればよいのではないか。そんな考えが頭を過り、俗にいう「やりたいこと」が見つからなかった。
そうして、地元への就職を選んだが、「地元が好きだから」というのもまわりを納得させるための方便にすぎず、長らく夢見てきた県外・国外移住への未練が捨てきれていないのも事実。地元、などというものはは自分の軸ではないのだろう、とうっすらと感じている。恐らく、長くはもたないだろう、かといって海外へ行くことやこうして筆をとって文章を書くことが真に自分の軸だとして、これで生活を成り立たせることができるのかどうかも分からぬ。
結局、どこかへ行くということや何かを始めるということに係る障壁は、ことごとく心理的なものでしかないのだ。そして、私はそれを乗り越えるに足る志を持ち合わせていないのだ。